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泉美木蘭
2017.6.10 08:50

ダメ、ゼッタイ。「記憶にない」の濫用はキケンです。

「記憶にない」って、官僚にそう簡単に言わせていいセリフじゃ
ない
と思うんだよなあ。
「そんなわけないだろ、この大嘘つきめ」と思われるか、
「そんな記憶もないバカが官僚やってるのか」と思われるか、
どちらかになっちゃうでしょう。
国家そのものの信頼が崩れていくだけだよ。

私ですら、過去のスケジュール帳は捨てずに置いてあるし、
それを見れば、その日のことは思い出せるもん。

たとえば…
ちょうど一年前、2016年の6月10日は、
9時50分、表参道A3出口」。
時間と場所だけのメモだが、これは媒体からの依頼で、X社へ
取材に行った。現地集合でカメラマンが合流した。
X社はたくさんの会社が入居するビルのなかにあって、入口が
わからず焦って右往左往した。
他にもうろうろ困っている人が何人かいてよく記憶している。

その翌週2016年6月16日は、「14時、篠崎駅」。
駅名しか書いてないが、これは動画番組「淑女我報」の取材で、
笹幸恵さんと一緒に書店「読書のすすめ」の清水店長を訪ねた。
ハンディカムで、駅前からレポートしつつ、店に向かった。
笹さんの耳にはパンダのピアスが揺れていた。
取材終了後、岡潔と執行草舟の本を2冊、現金で買った。
笹さんは「カード使えます?」と聞くほど、たくさんの本を買い
込んでいた。
帰りは、篠崎駅前のカフェに入ってふたりでお茶を飲んだ。
店内の冷房が効きすぎて肌寒かった記憶がある。

ちょうど二年前、2015年6月10日は、12時に美容室。その後、
16時に新宿二丁目の行きつけの飲食店で、バイト探しに困って
いた友人を、タイル職人の知人に紹介している。
ところが話が折り合わず、後日、きみがタイル職人やらないかと
勧誘されたのだった。
午前中のみの作業、初心者で日当1万4千円からスタートだよ!
いま、タイル職人には女性の力が必要なんだ!
きみなら必要な道具一式、親方が喜んで買ってくれるから!
とか、猛烈に誘われて本気で迷ったのですごくよく覚えている。

三年前、2014年6月10日は、「18時うなぎ」とだけ書いてある。
しかし、この日うなぎを食べにいった相手とは縁が切れた。
よっぽどうなぎが食べたかったんだと思うが、名前よりうなぎを
メモしてしまった時点で予見されていたか…。
まったく失礼な人間だよ、あたくしは。

まあ、そんな感じで、さして高学歴でもない普通の人間でも、
記号程度のメモから、このぐらいの記憶は思い出すわけよ。
いまの政権は、国家を信頼を破壊しているとしか思えないよねっ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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